何をしようか
新型コロナウイルスで壊滅的な打撃を受け、生き残るために今ギリギリの戦いを続けている。日々、テンションは上がりっぱなしで、アドレナリンだだもれ状態である。今日も、午前中から先ほどまで、おこもりツーリズむという視聴者のみなさんにはご自宅で我が伊勢角屋麦酒を楽しんでいただき、私はZOOMであちこちをご案内するそういう企画で、ひたすら話しまくっていた。45分を3本、間に密着取材中のFテレビの取材対応。それが終わるや否や、M新聞社様の取材。へとへとのグダグダで帰宅した。ずっと話しっぱなしだったので、のどがガラガラになっている。性も根も尽き果てているような気もする。
ところが、こんな状況でも頭のどこで次にどんなビールを作ってやろうかと思っている自分がいる。
MK3という三重県の清酒酵母がある。この酵母は吟醸香の主要成分であるカプロン酸エチルの生成能が高い。このカプロン酸エチルをビールに付与できれば、きっと面白いビールができる。ところが、これがなかなかそう簡単ではない。というのは、清酒酵母は、単糖は資化できるが、二糖はなかなか食べてくれない。ビールの元となる麦汁中の糖分は二糖のマルトースが大半だ。だから、MK3にこのマルトースを資化できる能力を付与しないと、ビールの醸造には使えない。だからこれをやろうかと思っている。
では、そのカプロン酸エチルを付加するのにふさわしいビールはどんなバランスが良いのだろうかと考える。吟醸香のもうひとつの主役である酢酸イソアミルは小麦ビールによく合う。当社のHime White は、そこでバランスを取っている。カプロン酸エチルもまずはここからだろう。
そんなことを考えていると、疲れも癒されていく。
やっぱり僕の人生そのものがビールな人生なんだな。
伊勢角屋麦酒
代表取締役社長 鈴木成宗