令和を迎えるにあたり
伊勢角屋麦酒ファンの皆様
こんにちは。社長の鈴木成宗です。日頃のご愛顧に心から感謝申し上げます。
改元を迎えるゴールデンウイークということで、おかげさまと内宮前店、外宮前店ともに連日超満員が続いておりますが、この春入社の新人さん達も頑張ってくれて、順調に営業を行っております。
さて、いよいよ、今日で平成も終わりですね。折角ですので、平成の時代を走り抜けた伊勢角屋麦酒を振り返ってみたいと思います。
私たち伊勢角屋麦酒は、平成9年(1997年)4月、三重県では伊賀のモクモクさん、亀山の安全さんに次ぐ3番目、全国では約50番目の地ビールメーカーとしてビールの醸造を始めました。
小さな餅屋のせがれだった当時29歳の私が始めた地ビール事業は、当時は第一次地ビールブームの真っただ中だったこともあり、マスコミには大きく取り上げられ話題を呼びましたが、一方で、多くの方からは「大丈夫なのか?」「そのうちつぶれるんだろう。」という目で見られていることも言葉の端々から感じておりました。現に許認可権を持った官庁の方から面と向かって「あんたのような老舗がこんなことせんでもええ。」とはっきり言われもしましたし。そうしたご意見はごもっともであり、実際、伊勢角屋麦酒は創業してしばらくは全く事業が採算に合わず、私自身も給料が取れず、散髪に行くお金にさえ事欠き、家内に散髪をしてもらっていた日々をつい昨日のことのように思い出します。
いろいろの紆余曲折を経て、おかげさまと今は国内でも名の通ったクラフトビールメーカーのひとつとなり、国内の一流大学からも、アメリカのIBリーグの大学生からも入社の希望が届くようになりました。
事業をやっていれば、時には視界から色が消えるほどのストレスもありましたが、自分を信じてやってきてよかったなと思います。そして、企業が軌道に乗らなかった頃から長く私に付き合ってきてくれた社員たちに深く感謝をし、彼らの豊かな人生を願ってやみません。併せて、私についてきてくれた家内にも深く感謝をしています。
人様に教訓めいたことを言うのは好きではありませんし、まだ、その歳では無いのですが、将来自ら起業し、全ての責任を背負っていくことを目指す方々に、この令和を迎える機会に、一つだけお伝えしたいことがあります。それは、最悪の逆境の中にあっても、たったひとりで自分を信じぬくことができる根拠となる強烈な成功体験を若いときに一つでも経験してほしいということです。例えばそれは超難関大学への合格でも良い。スポーツでの受賞でも良い。学会で大きな賞をもらってもいい。何でも良いので、自ら考え努力し、誰もが認める結果を出すことです。受験勉強も、スポーツの練習も、研究も、基本的には孤独です。ひたすら自分と向き合って自ら成長していくしかないはずです。その孤独な中で自らを信じ、やり抜き、突き抜けた結果を出してこそ、本当に自らを信じられるようになるのだろうと思っています。
明日から令和を迎えます。平成9年に伊勢角屋麦酒を始めたときに比べて、今の私は体力的には明らかに衰えています。しかし、平成の世を走り抜ける中で、私と伊勢角屋麦酒は、生き残りをかけて、多くの知識と知恵を身に着けてきました。平成の時代にクラフトビール事業ををはじめて22年間に私たちが成し遂げたことの数倍のことを、私たちは令和を迎えるこの先10年で成し遂げるのだろうという確かな手ごたえがあります。
当社の経営理念である「お客様に喜ばれる仕事を通じて 世の中に笑顔を作り出すことに貢献し 併せて従業員全員の成長と 物心両面の充実を実現する」の実現に向け、「よりおいしいビールを より手ごろに より便利に皆様の元にお届けできるように。」 令和の時代も頑張ります。
これからも伊勢角屋麦酒をどうぞよろしくお願いいたします。