Pirate King IPA を 国際審査員が審査すると
みなさん
こんにちは。伊勢角屋麦酒社長の鈴木成宗です。
日頃のご愛顧に心から感謝申し上げます。
先日のBlogでも書きましたが、伊勢角屋麦酒の主力工場である下野Breweryのビールがメキメキ良くなってきました。
キリンビールのタップマルシェを通して供給される Pale Ale と Hime White もメキメキ良くなり、おそらく今月末から来月皆さんのお手元に届くロットは完全に世界大会受賞クラスになっているはずです。
それはさておき、現在販売中の Pirate King IPA ですが、これも良いビールです。先ごろ行われたJapan Great Beer Awardsでも、しっかり金賞を受賞しました。因みにこの大会には当社は7品出
品し、全品受賞しました。(この程度は当たり前といえるレベルまで新工場の品質調整が進んできたことに安堵しています。世界の最高峰に届くレベルにもあと二か月くらいでもっていきたいと思っています。)
さて、話があちこち行きますが Pirate King IPA について、珍しく国際審査員の立場から語ってみたいと思います。多少手前味噌かもしれませんが、かなり公平に審査しているはずです。
実際の審査に従って時系列に行ってみます。因みに普段は英語で書きますので、日本語で書くのは苦手です。
※実際の審査会では、審査員は公正を期すために自分のビールは絶対に審査できないようになっています。且つ審査中は審査しているビールがどこの何か判らないようになっています。ですので、私は長年多くの大会の審査員をしていますが、大会で伊勢角屋麦酒を審査したことはありません。
では、実際の審査に従ってやってみましょうか^^
Appearance(外観)
Color(色) SRM9くらいでしょうか (やや高めですがアメリカンIPAの基準値内)
Clarity(透明度) ほぼクリアー。ごくわずかなチルヘイズと昇温後も微妙なホップの
ポリフェノールによるヘイズがあるがこれもアメリカンIPAの基準内。
Foam(泡) OK。
※外観で減点するようなところはありません。
Aroma(香り)
Malt(麦芽) Rahaのモルト感がある。OKです。Hop(ホップ)
Hop(ホップ) 複雑でフルーティーなホップアルマが支配的。
温度が上がるにつれて重層的に変化する。
多少高い温度になるとややフローラルになる。
複雑さが良い。
Others(その他) アメリカンタイプホップのアロマが支配的で、
オフフレーバーは感じない。
アメリカンIPAとしてあるべき姿。
※アロマも減点対象ありません。むしろ加点式の審査会なら加点されるでしょう。
Flavor and Body(味とボディー)
Malt(麦芽) GOOD。
Hop(ホップ) 複雑なフレーバーがある。GOOD。
ただし、ホップ由来の苦味が引きすぎる。
IBUをあと5~8程度下げた方がバランスが良い。
Condition(熟成) 充分。
Aftertaste (後味) 低温時は後味が良い。温度が上がると少し苦味が引く。
もう少し切れのいい苦味の質だとなおよい。
Balance(バランス) ホップとモルトのバランスは良い。
Others(その他) オフフレーバーは一切感じない。完成度は高い。
Body(ボディー) ミディアムライト 少し軽すぎるという評価をする審査員も居るかもしれない。
※アフターテイストは、後味に引く苦味は審査員によっては減点するかもしれません。
ただ、アメリカ西海岸の出身審査員だと逆にNice Hop Bitternessといって加点する人もあるかもしれません。
審査テーブルでは、作り手は何を狙ったのかという議論になりそうなところです。
Technical Quality Off flavor(醸造技術品質)
オフフレーバーは一切ない。醸造技術は完成されている。あとはバランスの微調整で世界が狙える。
まあ、こんなところでしょう。プロの審査員は5分程度の間に大体このくらいの項目を自動的(もはや本能的に)審査します。
皆さんのご参考になれば幸いです。