【New Beer Alert!】初期衝動忘るるべからず。【Ever Lasting Rye Double IPA】
こんにちは。
ブルワーの山宮です。
2月に入って、寒暖差がはげしく
三寒四温、春が近づいてまいりましたね。
早いもんです。
入社してもうすぐ一年。
もう1ヶ月と少しで後輩ができる、というのも、
早いなぁと思います。
【新作ビール Ever Lasting Ryeのきっかけ】
さて、話を180度変えますが、私は根っからのパンク好きです。
ピストルズに端を切った80sのUK Punkから銀杏Boyzまで、
雑食ですが、色々好きです。
あんまりどの音楽性/小ジャンルがいいってのはないんですけど、
パンクロックの「初期衝動」が大好きです。
「なんで音楽をしたいのか?」
「何を表現しようと思って、バンドを始めたのか」
「この腐った世の中を変えるために、おれがバンドをやらなきゃあかんっ」(???)
そういった原動力が作品に力強く現れているバンドがいいんですよね。
だから、(ビールに話を戻しますが)BrewdogのPunk IPAを酒屋で初めて見かけた時、「おっ」と思いましたし、実際飲んでみて衝撃を受けて、「うわうわっ、味が濃くて意味わからんけど、なんかめっちゃいい!」「クラフトビール ってすごい!」って思いました。
先述のパンクスピリットよろしく、「世界一のブルワーになるぞ」と意気込んで、ビール会社に入社して早一年、僭越ながらレシピも書かせていただける立場になりました。
自己の初期衝動を守れていますか???
目まぐるしい速度で変化していく茫漠たるクラフトビールシーンの中で、ついつい「今の自分の感覚での良さ」だったり、「自社のメインターゲットからのニーズ」だったりに気を取られてしまっていませんか???
そんな自問を込めたビールが私のレシピ、2作目「Ever Lasting Rye Double IPA」です。
ただの酒好き大学生だった自分を、クラフトブルワリーに勤めるに至らしめた伊勢角の旧定番ビール「インペリアルレッドエール」にインスパイアされたレシピ設計です。
最近はモルトもIBUも軽めのIPAが多いですが、クリスタルモルトいっぱい、ライ麦いっぱい。ビタリングホップいっぱい。古めな配合です。
ただ、仕込み手順をアップデートし、新旧ミクスチャーな感じに仕上げました。
伊勢角らしいクリーンな香りの良さも持たせながらも、一癖、二癖が加わった、伊勢角らしくもあり、らしくなくもあるビールで、
私の心の迷いの顕れでもあるのかもしれません。
【Ever Lasting Ryeの名前の話】
高校時代にパンクにハマり、
マイナー音楽道/我が道をつき進んで行った自分ですが、
通学の気散じにと思い、ウォークマンを購入し、音楽を聴き始めた一番最初の頃に聴いていたのは、BUMP OF CHICKENでした。
カッコ良いですよね。全然メディア露出しない硬派さとかもカッケーって思ってました。
そのころは、好きな音楽に対する物差しがあまりなくて、なんとなく長い曲の音楽が好きな傾向がありました。あほですね。
だからEver Lasting Lieという曲が結構好きだったんですけど。
このビールのレシピを書いた時に、ふとギャグのようなこの名前を思いついてしまって、
好きな曲だっただけに、久しぶりに聴き返してしみじみして。
(最近は公式にYoutubeに曲が上がっててすごいですね)
でも歌詞をよくよく読み返すと、
愛する人のために汗水垂らして、砂地を掘り返し続け、朽ち果てていく、
そんな主人公の姿が、めちゃめちゃパンクで、
でも、最後には、自分を突き動かしていた原動力を忘れてしまう、というのが無茶苦茶哀しくて、
自戒的に、初期衝動を胸に刻み込んで全力で走り続けよう、とそんなことを思いました。
これからも良いビールを作れるように頑張ります。
よろしくお願いいたします。
Ever Lasting Rye買ってください。
たくさん買ってください。
おいしいので。