非常識のすすめ
私なりの方法をのべたい。あくまで、私のである。したがってこのやり方が、一般的に当てはまるかどうかは全く分からない。しかし、ある特性を持った方には、少なからず役に立つはずであると感じている。それは、ADHD(注意欠陥多動性障害)傾向のある方である。こう書くと、いきなり引く方もいようが、子供時代から、落ち着きがない子供と言われてきた方は、そこそこの数いるのではないだろうか。そうした方の中には、一般的な常識、例えば、授業中は我慢して聞きなさい、相手の話していることに集中しなさい、資料は隅々まで読みなさい、何事も毎日決まった時間にコツコツやっていきなさいなどなど、本人には耐えがたい、しかし、一般的には常識あるいは正論と考えられている理論で押さえつけられて鬱々と過ごしてきた方も少なくないのではないだろうか。
かくいう私もそうした一人である。とにかく子供時代から落ち着きの無い子であり、整理整頓は全くできず、極め付きの方向音痴であった。もっとも私は常識的な教えにもそれなりに順応する、あるいは順応したふりをすることが子供時代からできたので、何とかここまでやってこれたが、自分が大きな結果を出す方法は、こうした常識的なやり方ではないということは薄々気が付いていた。そして、振返ってみると、やはり結果を出したときは常識的な教えとは全く違う方法でやっていたようだ。早くから今くらい開き直って自分の方法を押し通していれば、受験勉強においても、楽しく勉強して浪人せずに済んだであろうと思う。
では、常識的でない方法とは一体何かということである。
端的に言えば、今、自分がやりたいことを、飽きるまで集中してとことんやり切ってしまうことである。そして、飽きたらまた別のやりたいことをやる。これを次々と高速で繰り返していくのである。そうしていると、ある日興味の対象が以前やっていたことの延長線上に戻ってくることがある。その時はまたそれをやれば良いのである。
そして、この方法に合う人と合わない人を簡単に見分ける方法がある。それは、やりたいことが次々と湧き出てくる人は、この方法に合っている可能性が高い。一方で、何をやりたいかわからない。という言葉が口癖の人は、この方法には合わないであろう。
私には、こうした、短期集中の繰り返しで結果をだしてきたものがいくつかある。ほぼ独学でものにした私の英会話はビールの国際大会でテーブルリーダーを務めることくらいはできるが、すべては短期集中の繰り返しでものにした。英語に集中しているときは、手帳は全て英語で書き、自動車の運転中はひたすら英会話を聞き、仕事から帰ったら寝るまで英語の勉強をし、夕食中も英会話のCDを聞き、疲れたら有線テレビで英語の映画を観てと、一日中自分を英語漬けにしてしまうのである。こうしたことは、私の場合、大体短くて3日、長くても一か月くらいであきてしまい、飽きたら一切やらない。で、また次に英語に興味ができたときに飽きるまでやる。幾度かこれを繰り返しているうちに、アメリカに行っても英語で不自由をすることは無くなっていた。
MGもインストラクター資格をもっているが、これも非常に短期間でものにした。はじめてMGのことを知った1か月後に東京で二日間の講習を受け、そこで、習ったことをその後一週間程度、ひたすら頭の中で反復させ理解しインストラクターコースを経て、MGを知った半年後にはインストラクターとして人に教えていた。
この春、野生酵母の研究で博士号(学術)を取得したが、この論文も一気に書き上げた。その当時は、一日8時間程度社長として働き、同じくらいの時間、論文や関係する専門図書を読んでいたのではないだろうか。
読書にもこの傾向があり、これはと思った方の著書は片端購入し、目につくものから一気に読んでしまって、その人が伝えたいことを網羅的に頭に入れてしまう。そうしておいて、その人になり切ってしまって、その考え方ややり方を日々の仕事や生活の中で取り入れて検証してみることで、より一層、分厚いレベルで本の内容が理解できるのである。
空手は二段をもっている。師範には怒られるだろうが、気が向いた時は私はひたすら空手漬けになる。私は、普段から朝が早く大体4時ころには起きて5時には出社しているが、空手漬けの時は、出社前にひと汗かくまで空手の稽古を行い、仕事中も気が付くとすり足だったりするほど頭の中が空手になっている。そして、必然的に読む本も空手や武道関係になり、暇なときには拳立てをしたりと、空手バカ状態になっている。しかし、やはりある日、突然飽きる。一旦飽きてしまうと全くやろうという気が起きないのである。もし、10年くらい空手漬けになっていれば、きっと、今頃は達人の域にたっしているのであろう。
ダイエットもしかりである。気が向くと、私は痩せる。元々、大学時代から空手部だったこともあって、運動や栄養学については、それなりに豊富な知識を持っている。そうした知識もフル活用して、いざダイエットに興味が出ると、一週間で5,6Kg落とすのは朝飯前であり、今日は2Kg落とそうと決めれば、普通にそれができてしまう。丸一日、カロリーのあるものを一切食べずに、強度の高い運動を数時間やれば、あっさりと2Kgくらいは落ちるものだ。もちろん、これも、ある日、突然飽きる。そして、リバウンドする。
かくして、私は、こうしたことを繰返して、結果をだしてきたのである。